主人公、新堂湊は2人兄弟の次男として生まれ、先天的に自閉症スペクトラム障がい<※注:対人関係や言語の発達に偏りがある者。知的障がいは伴う場合と伴わない場合がある>ながら、驚異的な記憶力を持つサヴァン症候群<※注:特定の分野ですぐれた能力を発揮する者で、知的障がいや発達障がいを有することが多い>の青年。兄から、たゆみなく愛を注がれて過ごす少年時代、湊の才能に気づいていた兄は湊に、将来、医師になるよう勧めます。 その後、湊は兄とのとある出来事が理由で、町の診療所の医師?司賀明(しが?あきら)に出会い、医師の中でも小児外科医になりたいと思うように。司賀と仲良くなった湊は診療所に通い詰め、7歳の時にはすでに人体の器官をすべて暗記してしまい、そんな湊の能力に驚いた司賀は、湊が夢を叶えられるよう支えることを決意します。 膨大な医学書すらすべて暗記してしまう湊は、医学部を主席で卒業し、医師国家試験に合格。そして、大きな病院の院長となった司賀から、自身の病院の小児外科でレジデント<注:後期研修医のこと。医師免許を取得し、さまざまな科を回り臨床経験を積む2年の初期研修を終えた後、後期研修として3~5年、1つの科でさらに専門医を目指して臨床経験を積む専攻医>として働かないか、と声をかけられます。 司賀の誘いにより、レジデントとして小児外科で働くこととなった湊。その時は科内だけでなく院内の誰も想像すらしていませんでした。トラブルばかりを起こす湊から逆に、医師として大切なことを教えてもらうことになるとは。子どもという存在、医師という存在に、これほどまで深く向き合うことになるとは。「すべての子どもを大人にしたい」という湊のぬくもりが患者の子ども、兄弟、親、そして病院を変えていくことになろうとは―。